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生産管理システムとは

導入検討を進める際、「そもそも生産管理システムについてよくわからない」というご担当者様も多くいます。まずは、生産管理システムとは何なのか、なぜ昨今の製造現場で求められているのか、導入すればどのようなメリットがあるのかについてご紹介します。

生産管理システムとは

生産管理システムは、製造業におけるさまざまな業務を一括管理するシステムです。計画、生産、販売、在庫、原価計算、品質などを統合的に管理することで、生産性や品質を向上させながら、業務効率化へとつなげることができます。

Excelなどの表計算ソフトや紙による在庫管理、MRP(資材所要量計画)、品質記録、コスト管理などは、業務が複雑になってしまいがちです。作業者の負担が大きくなるだけでなく、「熟練者のノウハウに依存してしまう」「大きなミスが生じやすく、そのミスを発見しにくい」といったデメリットもあります。

このような製造現場の課題を解決できるソリューションが、生産管理システムです。生産管理システムを導入すれば、生産に関わるあらゆる業務の効率化や可視化、社員同士の情報共有が可能となります。

生産管理システムが求められる背景

近年、製造業では製品需給やサプライチェーンの変動、リードタイムの短縮、工場内外の組織との連携が要求されるようになり、生産管理が複雑化しています。これまで多くの日本企業が現場の創意工夫で難しい局面を乗り越えてきましたが、製造現場では熟練者の高齢化や人手不足が問題となっていることもあり、従来の生産管理は限界を迎えています。属人的な管理や、一部の作業しか支援できない生産管理システムでは対応しきれなくなっているため、「生産管理システムの再構築」が求められています。

生産管理システムを導入するメリット

製造現場では、あらゆる情報を正確に把握する必要があります。生産管理システムの導入は、現場の経験や勘に頼らない管理やリアルタイムなデータの蓄積を可能にします。これにより、現場の管理者と作業者、情報システム部門の担当者に、3つの大きなメリットをもたらします。

①生産・在庫管理の精度向上とリアルタイムな状況把握

Excelなどの表計算ソフトを利用した生産管理は、複数人で作業するとデータの重複や不整合が発生しやすいうえ、操作スキルや経験により管理精度にばらつきが出てしまいます。

また、紙での生産管理も記入ミスや不正確な文字などで不整合が発生しやすく、さらに紙をもとにシステムへデータ入力する必要があり2度手間が発生します。これらの理由から、リアルタイムに生産状況や部品・資材の在庫状況を正確に把握できない、といった問題が生じます。

一方、生産管理システムでは、複数人が同時作業を行ったとしても、入力したデータがリアルタイムに自動更新されます。これによって、正確な生産・在庫情報の把握が可能となります。管理精度が向上すると、在庫量の適正管理を実現することもできます。

②発注・生産・出荷作業などの効率化

手作業で原料などの購入依頼や作業指示を行っていると、ミスや遅延が多発するだけでなく、急な注文が入ったときに対応できない場面が出てきます。

生産管理システムでは、原料などが必要になるタイミングを事前に設定しておくと、必要な時期に自動的に発注情報が表示されます。この機能により、発注の効率化と欠品の防止が可能になります。

また、受発注と在庫状況を連携させ、工程進捗を管理画面で表示します。視覚的な把握ができることによって、生産工程におけるムダを省いた作業指示が可能になり、効率化が実現します。

出荷作業においては、バーコードによる照合でヒューマンエラーを防止するのはもちろん、ピッキングリストに変更があった場合は即座に修正を反映することもできます。作業者の負担を軽減するとともに、作業の精度を上げることにも貢献します。

③問題の早期発見と迅速な改善を実現

生産管理システムを導入すると、部署を横断したシステム利用が可能になります。他部署や会社全体の状況を把握できることは、問題点の早期発見と、改善策の迅速な立案にも役立ちます。結果的に生産フローや利益率といった本質的な課題に注力する余力を生み、PDCAサイクルを迅速に回すことにもつながります。

メリット①~③による品質改善は、最終的に顧客や従業員の満足度向上につながります。

さらに、生産管理システムの導入にあたって業務プロセスや報告フローについて社内で議論を重ねることは、スキルや経験の有無に関わらず、ベテランから若手まで社員同士の交流を生みます。このように情報や技術の継承が可能な環境を構築することは、自社資産となります。

生産管理システムの主な機能

生産管理システムの主な機能は、以下があげられます。

生産計画機能

生産管理は、生産計画に基づいて実行されます。生産計画機能とは、この「生産計画の立案」を支援する機能です。生産計画では原料在庫、設備条件、作業員配置、出荷期限など、あらゆるデータを用いて生産効率を最大化させることが求められます。また、その際には実現可能な範囲で無理のない生産計画であることも条件です。

販売管理機能

販売管理機能とは、商品の見積もりから受注、出荷、売上、在庫までの販売にかかわる業務全般を管理する機能です。受注をしても、在庫がなければすぐに商品を顧客に届けることができません。紙による管理などを行っていると、受注のタイミングと在庫数を確認するタイミングでタイムラグが起こり、在庫不足になってしまう可能性もあります。

販売管理機能を利用することで、受注したタイミングで在庫数を変更するなどが行えるため、製品の過不足を避けることにつながります。また、生産計画機能により、適切な納期回答を行うことができます。

購買管理機能

購買管理機能とは、商品や原材料の仕入れなどを管理する機能です。仕入れ業務をきちんとしていなければ、適切な価格で販売することもできず、生産計画で掲げた利益を達成することも難しくなってしまいます。購買管理機能では、商品や原材料の購入にかかる費用の計算をシステム上で行えるため、業務を効率化できます。

工程管理機能

工程管理機能とは、生産計画機能で掲げた計画どおりに生産が行われているかどうかを管理する機能です。一般的に生産工程は複数且つ複雑に連携しています。各工程で計画どおりに進行しているか、遅れは出ていないか、品質は問題ないかなどを確認していきます。工程管理機能によって、自社の生産ラインの課題が見えてきます。例えば生産が遅れているのであれば、工程のどの部分で遅れが発生しているのかがわかるからです。その課題を解決できれば、より生産性を向上させることにつながります。

在庫管理機能

在庫管理機能とは、その名の通り、商品の在庫を管理する機能です。商品の具体的な管理数はもちろんのこと、「いつ作られたものなのか」「出荷期限はいつまでか」「対象の商品はどこの倉庫に保管されているのか」なども管理できます。その結果、受注後に出荷する商品に優先順位をつけることにもつながります。例えば、製品によっては時間が経過すると劣化してしまうものもあります。劣化した商品は自社で処理する必要があるためコストがかかってしまいます。在庫管理機能を活用することで、どの商品を出せばこうしたリスクを避けることができるのかがわかります。そのため適切な在庫管理が行えることがメリットです。

原価管理機能

原価管理機能とは、製造工程において原価がどれくらいかかったのかを管理する機能です。企業にとって利益を出すためには、原価よりも高く適切な値段で販売することが必要です。そのため多くの売上を上げたとしても、原価との差がなくては利益につながりません。紙などの管理で手計算を行ってしまうと、計算間違いなどで正しい原価が把握できないこともあります。きちんとした利益を出していくためにも、適切な原価管理が求められます。原価管理機能を活用することで、原価管理が容易になり適切な利益を出すことにもつながります。

品質管理機能

品質管理機能とは、自社で製造した商品が出荷に適した基準を満たしているか確認する機能です。商品を生産していると初期不良や不具合が起こることがあります。こうした商品を出荷してしまうと、自社の信頼を失ってしまいます。そのため、こうした商品を出荷しないように、自社内でチェックして防ぐ必要があります。品質管理機能を活用することで、基準を満たした商品のみが出荷されるようになり、自社の信頼向上につながります。
また、万が一、出荷されてしまった場合、早急な原因解明を求められます。この際も品質データを適正管理することで、素早い原因解明につながります。

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