3
MES製造実行システムとは
生産管理システムをご検討の皆様から「製造実行システム(MES)というのも聞くけれど、生産管理システムとの違いは何?」というお話を伺うことがあります。ここでは製造実行システム(MES)について簡単にご紹介します。
MES製造実行システムとは
製造工程の状況把握や生産計画・実績の管理、作業者への指示や支援などを行うシステムのことです。Manufacturing Execution Systemの略で、製造実行システムを意味します。最大の特徴は、工場の生産ラインにおけるそれぞれの製造工程と連携できること。作業手順管理、入出荷管理、品質管理、保守管理などの機能があります。
MES製造実行システムと生産管理システムの違い
生産管理システムの機能のひとつがMESであり、生産計画の立案、製造実績の管理、作業者への指示や支援などを行います。しかしながら、MESの機能は近年拡大しており、広義では生産管理システムと認識されつつあります。
MES製造実行システムが注目される背景
かつてモノづくりにおいて優位に立っていた日本ですが、グローバル化が進んだことで、品質の高さだけでは対応しきれなくなってきました。時代の変化とともに、製造業では大量生産から少量多品種生産へと移り変わり、従来の見込み生産ではなく、適切な生産計画と在庫管理が求められるようになっています。
これまで日本では、多くの企業が熟練者の経験や勘に頼って生産計画を立てていました。しかし、熟練者の高齢化や人手不足が進む昨今、属人化した生産管理では対応が難しくなってきています。
MESは工程を最適化・可視化しながら製造現場を動かしていく役割を担っており、生産管理システムにおける重要な要素として位置づけられます。製造現場の実行を支える仕組みを構築することができ、品質の向上はもちろん、コストや納期を管理し効率的な製造を実現します。現場の作業者への指示や支援を行うため、個々の製造現場に合ったシステムである必要があり、導入にあたってカスタマイズするケースが多く見られます。
MES製造実行システム導入のメリット
①在庫管理の効率化
原料・中間体・製品・副資材の在庫管理は、膨大な情報を正確かつリアルタムに管理する必要があります。入出庫データの入力や棚管理などをシステムで行うことで、倉庫内の状況をリアルタイムに見える化することができます。これによって適切な在庫管理が実現し、資材所要量計画による必要在庫量の明確化や、棚卸しにかかる時間の大幅短縮が可能になります。
②発注業務の効率化
在庫管理が適切に実施されると、生産計画による在庫所要量管理との照合がスムーズになり、発注時期と必要量を明確に把握できます。これにより、発注業務の効率化が実現します。
③部門間の連携
生産スケジュールや稼働実績など、さまざまな情報をリアルタイムに可視化することで、設計・製造部門やサプライチェーンとのスムーズな連携が可能になります。
④業務の平準化
タブレット端末などに作業指示を表示し、チェック欄に沿って作業を進められるようになることで、誰が作業してもミスなく実施されます。また、各製造工程の実績が自動記録されるため、業務の平準化を実現できます。
⑤品質向上・不良品の発生防止
製造実績データをシステムで管理することで、製品から原料・作業結果を確認できるのはもちろん、原料から製品を特定することも可能となり、製品不備や不良品発生時の原因分析が素早くできるようになります。
よいMESとは(MES選びのポイント)
自社にとって必要な機能が搭載されていること
パッケージソフトなどでは、自社に必要な機能が搭載されていない場合があります。必要な機能が搭載されているか、また、搭載されている場合でも自社の製造プロセスに適合するかを確認するようにしましょう。
作業者が使いやすいシステムになっていること
入出庫作業や秤量管理の方法、作業指示の表示とチェックなど、各機能が作業者の負担を軽減するシステムになっていなければ、業務効率化を実現することはできません。作業者にとって使いやすいデータ入力端末を選定することや、秤量データとの連携が可能なシステムを選定することなど、自社の業務に適合するものを選ぶことが大切です。
管理業務に必要なデータ管理ができること
在庫管理、製造実績管理、品質管理など作業データの管理については、自社の管理業務に適合し、有効に活用できるものを選定することが必要です。
トレーサビリティを確保できること
製品検査での異常やお客様クレームがあるなど品質不良が発生した際、最短で原因にたどりつくためには、原料調達、生産、出荷までの各工程が追跡可能な状態になっている必要があります。こうしたトレーサビリティの確保に必要な情報を収集・管理できるシステムを選定することが大切です。
導入後の機能改善に対応していること
変化の激しい時代では、製造現場で必要となる機能も変化していきます。そのため、システムを導入して終わりではなく、変化に応じた改善を図っていくことが重要です。導入後のアフターフォローが手厚く、機能改善に対応しているかどうかも確認しておきたいポイントです。